
雪舟の水墨画のような白と灰色の風景から一転して、新緑が目にまぶしい季節がやってまいりました。野にも山にも春の草花が咲き、小さな虫たちも姿を見せるようになりました。近くの田んぼには水が張られ、長い冬眠から目覚めたカエルたちが合唱を始めています。
カウンターから眺める阿蘇海の水面は、春の日差しにきらきらと反射しとても奇麗です。厳しい冬の漁はようやく終わりを告げ、穏やかな春の海で、鰯などの漁が始まりました。
阿蘇海の鰯は「金樽鰯」と呼ばれております。この鰯は他の鰯に比べて腹の部分が金色に見えるのですが、大量に獲れた鰯を入れていた樽が金色に輝いて見えたことからこの名前で呼ばれるようになったと、漁師さんから聞きました。最近では漁獲量も昔と比べ少なくなり、とても貴重な阿蘇海の幸として市場に並べられます。
程よく脂ののった鰯は、焼くのはもちろん、新鮮なうちに生のままでお造りや寿司で召し上がっていただいております。一度焼いた鰯を特製の三杯酢に漬け南蛮漬けにしたものは、夜にお酒を楽しまれるお客様から大変好評をいただいております。
当店のカウンターは、お昼は景色が良く見え、天橋立や阿蘇海が一望できますので、特に女性のお客様や、近隣でも海からは少し距離のある所からのお客様に、さまざまな風景をご覧いただきながらお食事を楽しんでいただいております。夜になると今度は、対岸の文殊地区の旅館・ホテルの灯りを眺めながら、常連のお客様がたが、時にはワインを開けて会話を楽しまれる寿司カウンターになります。
はじめてのお客様はもちろん、雪舟庵の料理をまた食べたい、さまざまな表情の持つ天橋立の風景をもう一度見たい、次は大将とカウンター越しに会話をしてみよう、など思っていただき何度も足を運んでくださるお客様がたには、心より感謝しております。日々の積み重ねが実を結ぶ最高の瞬間に変わります。
一期一会の出会いの中で、こんな私の気持ちをお客様に伝えていけるように、お料理、サービスをより一層充実したものにしていきたいと思っております。
柔らかな日差しに誘われて、丹後・天橋立に来られた折にはぜひとも当店にお立ち寄り下さい。目で舌で存分に、当地の春を満喫していただけるよう努めてまいりたいと思っております。
皆様のお越しをスタッフ一同心よりお待ちしております。
──2012年、春
《追記》
最近、ブログを始めました。私の独り言のような内容ですが、ご覧いただけるとありがたいです。その日の新鮮なネタ、旬の食材などをお知らせしたいと思います。