店主より


 ここ数日、急に蒸し暑くなったり、逆に冷え込んだりと、おかしな天気が続いていると感じておりましたところ、近畿地方が梅雨入りしました。
 店の周りでは田植えもすっかり終わり、きらきらと水をはられた田んぼには小さな苗が整然と並んでいます。カエルたちも嬉しそうに大合唱をはじめました。
 都会からのお客様は、カエルの声に風情を感じていただけるみたいですね。時折、カウンターのガラスにもカエルがやってきて、和ませてくれます。

 梅雨に入るとどうしても雨の日が多くなりがちですから、気分がのらない、元気が出ない、と言われる方もおられます。
 ですが、雨の日にもそれなりの楽しみはあります。カウンターの前に広がる阿蘇海と、天橋立の松並木がしとしとと静かに降る雨に濡れている情景は、まさに雪舟のえがいた水墨画そのものです。強く雨の降った後は、空気が洗われるのでしょうか。空は澄み、時には虹がかかり、天橋立の松並木の緑もよりいっそう濃く見えて、美しいものです。

 梅雨があけると丹後の夏が始まります。
 7月の上旬には宮津のトリ貝(丹後トリ貝)が旬を迎えます。トリ貝はアサリと同じ二枚貝で、殻をひらいた中の身が鳥の姿に似ているところから、そう名付けられたようです。宮津産鳥貝の大きさは女性の手のひらほどもあり、一般的なトリ貝と比べるとかなりの大きさです。大きさでいえば、日本一と言ってもいいでしょう(その分、値段も日本一のようですが……)。
 そして、味の方はというと、口に入れると何ともいえない弾力があり、噛めば噛むほど口の中にうまみとあまみが広がります。酢味噌でいただいても、ワサビ醤油やショウガ醤油でも美味しいです。お造りでもお寿司にしても美味しいですし、さっと網の上であぶり、レモンをしぼって熱々のところを食す……あれやこれやと想像がふくらむ、たまらない一品です。
 旬のネタはトリ貝以外にも、カマスとトビウオ、子白イカなどがあります。子白イカは、夏にとれる白イカの幼生です。また、京野菜の万願寺とうがらしが隣町の舞鶴で収穫されており、こちらも出荷が始まります。焼いて鰹節をかけて生姜醤油でいただくのが美味しいですよ。

 これからの季節に備えて体調を整えるためにも、旬の美味しいものを食べましょう。
 蒸し蒸しする梅雨や暑い夏は、食欲が落ちてしまいがちになります。ですが、しっかり食べて体を作っておかないと、秋に夏の疲れが出ることが多くなります。これからの時期を乗り切るため、美味しい旬の食材を使ったお食事の提案もさせていただきます。どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
 食べやすく栄養があり、見た目にも涼しそうなお料理を考えてお出しした時のお客さまの笑顔が、一番の喜びです。その最高の笑顔にお出会いできるよう、毎朝の仕入れで旬の食材や魚などを選び、調理し、毎日カウンターに立たせて頂いております。

 梅雨があけ、夏本番を迎える天橋立・丹後地方には、海水浴や観光のお客様がたくさん来られてにぎやかになることでしょう。
 そして、夏の風物詩といえば祭りと花火も欠かせません。当地では、7月24日に天橋立の文殊地区で龍舞いが披露される「文殊堂出船祭」、8月16日に夏の終わりを告げる灯篭と花火が美しい「宮津燈籠流し花火大会」が開催されます。どちらの花火も当店のカウンターごしにご覧になることが出来ます。  さまざまなイベント・旬の食材がそろう宮津・天橋立へ、ぜひお越し下さい。

 皆様とお出会いできます事を、スタッフ一同心よりお待ちしております。

──2017年、夏に向けて





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